とりあえずこのままでは遅刻してしまうので、私は棗様に準備をするように促した。


…何か夢でも見てたのかな。

動物か何かを抱き締めてて、それで現実でも…。


それはそれで愛らしいことこの上ないですが。




「……」


「……」




妙な沈黙の中、私の背後で制服に着替えている棗様。


私はその脱いだ服を洗うべく待つ。




「…あっ、棗様!今日はお菓子を作って待ってますっ」


「え?」




昨日寝る時に決めたこと。

棗様が学校から帰るのをお菓子を作って待っていようと思ったのだ。




「そうか…ありがとう」




やった!と一人喜んでいると、後ろから棗様に衣服を渡された。




「では洗っておきます」


「頼む」




と、

棗様の前髪が少し浮いていのが目に入った。


私は渡された衣服を左手に持ち、一歩棗様に近寄ってそっとその前髪に触れる。