「…あれ、有馬さんとはどうやって知り合ったんですか?」


「え?有馬くん?」




有馬さんは5年間も茜さんを想い続けてると言った。


でもメイドとして働き出したのは約3年前。




「そうねぇ…確か私がお屋敷で迷子になった時に、助けてくれたのが初めてかしら」




なんて茜さんらしい出会い方だろう。

私は思わず微笑んだ。




「有馬くんはその頃からずっと私に優しくしてくれてたわねぇ。クールでお堅いけど、温かい人だったわ」




恋というのは難しいもので。

好きという感情をコントロール出来ない、難儀で実に儚い素敵なものである。


横山さんを想う茜さんにとって、その恋は切なくも愛らしい宝物なんだと思う。


恋は小さな宝物、というお母さんからの受け売りだけど。