「…ねえ、やっぱり花ちゃんくれない?」
「駄目だ馬鹿」
「うーんやっぱり駄目かぁ」
「花、こっち」
棗様は私に向けて手招きをする。
私は首を傾げつつ、机を回って棗様のもとへと近寄った。
と、
ポン、と私の頭に大きな手が乗った。
「褒美」
優しく微笑む棗様は、私の頭をさらりと撫でた。
一瞬で私の顔は熱を持つ。
きっと真っ赤だ。
「あっ…ありがとうございますっ」
「ん」
「微笑ましいな」
馨様を見るとニヤニヤと笑って私達を見ていた。
は、恥ずかしいな。
でも
すごく嬉しい。
「んー、やっぱり考え直さない?」
「駄目だ」
「どうしても?」
「どうしても」
そう言いつつ棗様は私の頭を抱えて少し引き寄せた。
また私の胸は大きく鳴る。
…な、棗様の行動の一つ一つにドキドキしてる気がする。
「…専属メイドに薦めるんじゃなかったかなーなんて」
「おい馨」
「冗談だって!」
そう言って笑い合う二人を首を傾げて見る。
…私、メイドになって良かったかも。

