「それで、何しに来たんだ」
「いやー暇だったから」
「…アホ」
一瞬この二人が普通の男子高校生のように見えた。
彼らにとっては普通なんだろうけど、こんなやり取りをしている二人を見たのはとても貴重な感じがする。
…ていうかお坊っちゃんって暇なの?
「あ、なんで呼び出されてたの?」
「次の集会でスピーチを頼まれた」
「なるほどー、さすが生徒会長」
せ、生徒会長!?
改めて棗様の凄さを実感する。
そんなお金持ちの学校で生徒会長を務められるなんて、棗様は私の想像しているより遥かに偉大な方だった。
すると、ふと馨様は私を見た。
首を傾げると、馨様は少しの間私を見つめてから再び棗様に向き直る。
「もしかして、花ちゃんって棗の専属メイド?」
「えっ」
馨様の発言に、思わず私が驚きの声を上げてしまった。
私は慌てて首を振る。
「そっ、そんなわけありませんよ!私なんかが棗様のせん、」
「なるほど」
…?!
私の言葉を遮り、棗様は納得の表情を私に向ける。
そして情けなくも私はその視線にドキリとした。
「花。俺の専属メイドになれ」
「…!?」
まっすぐな棗様の視線に私は一瞬何も言えなかった。
いや待って!
私が棗様の専属メイド!?
む、無理がある!
まだなったばかりの新人だし、失敗だって多いし、何もすごいこととか出来ないし……それに……拾われた身だし。
私は何度か心の中で必死に断りながら、それを口にすることは出来ずにただ首を振った。
そんな重要な役割を果たせるような身分じゃないですよ!
「もう決めた。これは命令だ」
一切の乱れもない棗様の視線に、私はうっとたじろぐ。
メイドとしてご主人の命令は絶対任務。
……でもさすがにこればかりは…。

