「新入り?」
「は、はい」
「へぇー。この屋敷でこんな若い子がメイドしてるなんて僕が知る限りでは初めてだね」
そ、そうなの?
やっぱりそこまでメイドチーフの前川さんは厳しいのか…。
「何か事情あるの?」
「あ…、社長に拾われた身でして…」
「なるほど…」
王子のようなそのお方は納得したように何度か頷いて、珍しそうに私を見る。
…こんな綺麗なお方に見られるのは恥ずかしい。
棗様といいこの王子様といい…。
私の庶民感モロ出しの心は素直にドキドキと高鳴るのだった。
「あの…」
「うん?」
「な、棗様のご友人でいらっしゃるんですか…?」
「うん」
ニッコリと人懐っこい笑顔を簡単に見せてしまう彼は、私に警戒心なんか更々持ってないようで。
それがとても嬉しかった。
「その棗に会いに来たんだけど、あいつ帰る時呼び出されてたからまだなのかなぁ」
棗様とこのお方は恐らく同じ学校なのでしょう。
白いシャツに黒いベストといったとてもシンプルな服装なのに、すごく輝いて見えるのはきっとこのお方の魅力のせいだ。
「僕は神永馨。君は?」
「あっ、沢田花です!」
「花ちゃんか。よろしくね」
「こ、こちらこそ!」
なんてマイナスイオン溢れる方なんだろう。
気付くと見惚れてしまっている。

