それから無事に棗様は遅刻をすることもなく、学校に登校して行かれた。
学校というのは、やっぱりそういうお金持ちばかりが通う学校なんだろうか。
棗様はどんな学校生活を送ってるんだろう。
私には想像もつかないような美男美女がいるのかなぁ…。
「…て、仕事仕事…」
私はハッとして棗様の部屋の掃除を再開する。
茜さんには、「棗様の部屋は床や窓、ベッド、花瓶、棚とクローゼットしか掃除しちゃ駄目」と言われていた。
その言葉に従って、私はせっせと床を拭く。
…凡人である私が棗様の生活を考えたって分かるわけないよね。
そう考えて、少し惨めな気持ちになりながら私は黙々と手を動かした。