――「棗様、今日も1日お疲れ様でした!」
「……ああ」
ドサッとベッドに腰掛けた棗様は相当お疲れ様なご様子。
棗様の不機嫌具合は治らず、ここのところどんどん悪化しているような気がする。
前話してから、もう不満は解消されたと思ったんだけどなぁ。
……やっぱりお忙しいからかな。
「今日、夕食まで花がいなかったのは……また〝レッスン〟してたからか?」
「はっ、その節は申し訳ございません!えっと、本日は響子様のもとでお手伝いをしておりまして……」
「……またか」
はぁ〜っと盛大な溜息に少し気まずくなる。
……怒ってらっしゃるのかな。
確かに、最近は棗様とお会いする時間がほとんどなくなった。
私の手が回らないところは茜さんや有馬さんがして下さっててすごく助かってるんだけど。
棗様とこうやって2人で話す時間は、もうお風呂を上がって寝るまでのこの数分のみになっている。
「あ、あの……私は大丈夫ですので。辛いなんてこと全くなくてですね……」
「……」
「……棗様?」
「……」
じーっと座ったまま床を見つめる棗様。
黒いオーラをまとっているように見えて、私はハラハラする。
……ご気分でも悪くなられたんでしょうか。

