「毎日毎日、辛くないのか」


「えっ、とんでもない!むしろ楽しいです!」


「……は?」




意味が分からないとでも言いたげな表情を浮かべる棗様。


そっか、棗様は私の身体を心配して下さっていたのか。

不満そうな様子も、私の忙しさを心配してのことだったんですね。



……うっ、優しさが身に染みる。




「私、バイトもしたことなかったので、社会人の常識から社交界のマナーまでほんとに幅広く教えて頂いてて……。

前川さんや響子様に色々教わって、私毎日すごく成長を感じられるんです。それがとても嬉しいんです!」


「……そうか」




棗様は眉を八の字にしてふっと笑う。


……納得して頂けたかな。



自分の能力や魅力を上げて、少しでも棗様に近付きたい。


棗様に恥をかかせないように、胸を張ってお隣を歩けるようになりたいんです。



だって……結婚するんですもん!




「花がそこまで言うなら、仕方ない」


「ありがとうございます、棗様っ」


「くれぐれも無理はし過ぎるなよ」


「はい!かしこまりました!」




ほんとに優しいなぁ。

私のことをこんなに心配して下さってたなんて。



……確かに棗様と話す時間が少なくなってきてるのは、正直寂しい。

でも棗様と想いが通じただけですごい幸せなことだから。


私がそれ以上を求めるのは贅沢なんだ。



今ある幸せを噛み締めて、自分磨きに徹します!