こんなこと、私が気にするなんて野暮なのかもしれないけど。


……でも、棗様を想う気持ちは私にも分かるから。




「……『分かった。ごめんね』って。それだけだった」




背中越しに聞こえた棗様の言葉に、胸が締め付けられた。




〝分かった。……ごめんね〟




……綾小路様。


きっと、すごく辛いですよね……。


ほんとに、私が何を言っても綾小路様の気に障るんだろうけど。

……私は、綾小路様と何も話せてません。




「花は気にしなくていいから」


「……で、でも」


「俺も、今日ちゃんと謝ってくる」




だから心配するな。と、棗様は着替え終わった状態で私の頭をぽんと撫でた。



……私も謝りたいなんて、言いたかったけど言えなかった。


だって、「棗様を取ってしまってすみません」なんて謝れない。

むしろ怒らせてしまうよね……。


棗様の言うように、私は気にしないようにすべきなんだろうか。


でも、どうしても気にかかる。



……どうしよう。