イケメン王子の花メイド




「ありがとうございます……!」


「で、これからどうするの?その子はメイドを辞めて嫁ぐ形になるの?」


「まあ、そうなるな。まだ籍は入れないが」


「花嫁修業でもさせるのかしら」


「そんなものは必要ない。花は今のままで十分なんでもこなせる」


「あらそう。まさか息子の惚気を聞くことになるとはね」


「何か問題でもあるのか」


「ないわよ。そうやってすぐツンツンするのはやめなさい。みっともない」


「なんだと」




若干お2人の雲行きが怪しくなってきたところで社長が「ほっほ」と笑って会話を止めさせた。


1つの笑い声でこのお2人を止めるなんて……社長、流石過ぎます。





「そういう話はまた後で決めよう。まずは棗と花ちゃんを祝福してあげないか?響子」


「……祝福ねぇ」




社長にそう言われた響子様は、テーブルに肘をついて私と棗様を交互に見た。



響子様って社長や棗様とは全然違うタイプなんだと最初は思ったけど、

そんなこともなかったな。


響子様と棗様は割と似てる。

似てるからこそ、すぐに言い争いになるのかもしれない。


でも悪化しないでいられるのは社長の存在が影響してるんだろうな。

2人とも、社長には逆らう様子もないんだもん。



滝沢家の形が少し分かった気がする。