これはやっぱり夢でしょうか。
私きっと、今世界で1番幸せ者です。
……お母さん、お父さん、
私を産んで育ててくれてありがとう。
2人の分も、ちゃんと幸せになってるよ。
こんな素敵な家族の一員になれて。
大好きな人とずっとずっと一緒にいられる。
……本当にありがとう。
「……っはい!喜んで……っ」
私がそう言うと、棗様はくすりと笑って号泣する私を抱き締めて下さった。
なんて温かい懐なんでしょう。
棗様の服に涙がついてしまうけれど、あとでしっかりクリーニングしますから。
……もう少しこのままでいさせて下さい。
「まあ、まだ婚約の段階だがな」
「あ……社長や響子様はもうご存知で?」
「いや言ってない。これから言う」
な、なんと……そうでしたか。
受け入れて下さればいいんですが……。
というか、やっぱりこういう突飛なところは響子様と少し似ているかもしれませんね。
「しかし……嬉しいもんだな」
「え?」
「好きな相手と気持ちが通じたっていうのは」
なっ……
棗様……それは反則ですよ。
ときめき過ぎて顔が熱くなってきました。
棗様の表情が窺えないのが少し残念。

