なんとか洗い物を済ませた私は急いでエントランスに向かった。
時間的にもう屋敷内には入っているかもしれない。
「花!」
そこでエントランスから棗様の声が響いてきた。
私はドキッとして思わず足を止めてしまう。
カツカツと、こちらに向かって来るのが足音で分かる。
既に私の心臓はバクバクと暴れ回っていた。
「……は、はい!私はここです!」
震える声でなんとか返事をしたが、足が動かない。
……棗様が私を探してる。
お迎えに行かなかったから怒ってらっしゃる?
それとも、
大事な報告があるからそれを伝えようとされてる?
……どっちにしても、覚悟を決めなきゃ。
絶対に泣かないようにしなきゃ。

