「私は花ちゃんに幸せになって欲しい。ご両親の分もね。

だから、メイドであっても……たまには甘えていいんだよ」


「……社長……」




本当に、なんて素晴らしいお方なんでしょう。


こんなに素敵で偉大な方だから、あんな大きな会社の社長が務まるんだろうな。


感謝してもしきれない。




「ありがとうございます……っ」


「君のお母さんも、『花は頑張り屋さん』っていつも嬉しそうに話してたよ。

『たまには甘えて欲しい』ってね」




その言葉を聞いて、私の頭の中にお母さんの声が聞こえた気がした。




『花は頑張り屋さんだから』

『たまには甘えてくれたっていいのにね』




再び私の頬を涙が伝う。


……お母さん。

ありがとう。


お母さんのおかげで、私は社長に出会えたよ。



新しい家族が出来たんだよ。




「沢田さん、屋敷へ戻ったら目元を冷やしましょう」


「はっ……すみません横山さん!ありがとうございます……」


「よし、そろそろ棗も学校から帰って来る頃だし、今日はこの辺で帰ろうか」


「あ、はい!」


「かしこまりました」




ベンチから立ち上がって伸びをする社長の背中を見つめる。



社長……、

いつも本当にありがとうございます。


大好きです。



これからも社長や棗様の為に……私は自分の限りを尽くして付き添います。


それが私の生きる全てです。


皆さんが幸せになれるように……もっともっと頑張ります!