「起きて下さい!棗様っ」




恐る恐る棗様の肩に手を掛け、ゆさゆさと揺らす。


するとやっと棗様はうーんと眠そうに唸った。

き、きた!




「棗様!朝です!起きましょうっ」




私はここぞとばかりに棗様の肩を揺する。


ここまですればさすがに起きるでしょう!




「……あぁ?」




いつもより低い声が棗様の口から発せられた。

眠そうに眉をひそめて私を見上げる棗様は、まるで私を睨んでるようだった。



…いや睨んでるのかもしれない。




「……花?」




棗様が不意に私の名前を言って、思わずドキリとしてしまった。


…もう覚えてくれてたんだ。




「は、はいっ!花ですっ。棗様を起こしに来ました!」


「…そうかお前宮本の…」




何か納得をしたのか、棗様はゆっくりと体を起こした。