そのまま私と小塚森様は棗様達のいる書斎へと戻って来た。
……と、何やら中から荒々しい声が聞こえてくる。
コンコンとノックをして扉を開けようとドアノブに手をかけたその時。
「花!?」
バンッ!と勢い良く書斎から飛び出してきたのは棗様だった。
眉間にシワを寄せて焦ったような怒ったような表情をこちらに向け、棗様はハァハァと肩で息をする。
「……何してた」
物凄く低い声で発せられたその言葉に、私は少しビクッとする。
とてつもなく機嫌が悪い棗様…。
そんな棗様は私と小塚森様をゆっくりと交互に見やる。
めちゃくちゃ怒ってる……。
なんだか泣きそうになってしまい、グッと涙を堪えながら私は俯いた。
これ以上棗様を困らせたら駄目だ。
…棗様に全部ちゃんと説明しなきゃ…。
と、書斎の扉の前で立ち尽くしていた私達を見つめながら馨様が中から優しく声をかけてきた。
「まぁそんなところで突っ立ってなくてもいいんじゃない?中でゆっくり話そうよ」
そんないつもの馨様の癒し系な雰囲気にホッと心が少し軽くなった。
…彼のその穏やかで優しげな雰囲気はほんとに人を落ち着かせてしまうんだな、と私は頭の隅で思う。

