「……あ…?」
すると一段と低い声が棗様から聞こえた。
私はそれを聞いてここぞとばかりに肩を揺する。
「棗様!朝です!起きて下さい!」
「……チッ」
そう小さく舌打ちをしながらむくりと体を起こした棗様は、先程の私のようにボーッと宙を見つめている。
良かった早めに起きて下さって。
「な、棗様っ!申し訳ありません!」
「……?」
「メイドともあろう私が棗様の寝床を奪ってしまって…」
「…なんの話だ」
眠そうに目を細めて棗様は私を見上げた。
え、え?
なんの話だって…。
「昨日は花が寝てたから俺がベッドに運んだんだ。それに俺は勉強してたし問題ない」
「そ、うなのですか…?」
コクリと頷く棗様を見て、私は少し胸がキュンとときめくのを感じながらも運んで下さった棗様に感謝した。

