あの大きな窓は私の部屋にはない。
こんなふかふかなベッドも私の部屋には存在しないはず。
一番の問題はなんで私がベッドで寝ているかということです。
そしてここは紛れもなく棗様のお部屋であるということも。
「…な、棗様っ?」
やっと視界がスッキリした私は部屋の中を見回す。
そして勉強机の方にそのお方は寝ておられた。
ななななんで棗様がそこで寝て私が棗様のベッドで寝てるの!?
こ、こんなこと知られたら即刻解雇ですよ…。
もしかして私寝ながらベッドに移動したのかな…!?
それこそ最悪だ。
私はメイドの分際でご主人様である棗様の寝床を奪ってしまった。
こんなメイド最低の他何者でもない。
「な、棗様!起きて下さいっ」
私は慌てて棗様のもとに駆け寄り、肩を揺すって起こそうとする。
早く棗様に謝罪しなければ…!

