イケメン王子の花メイド





叔母さんの子供や、旦那さんは普通に優しかった。

でも叔母さんは私達のことを嫌っていた為、あんまり子供達と接する機会はなかったわけだけど。



……そりゃあこんなに嫌われてたら、嫌いにもなっちゃうよね……。



私はベッドから立ち上がると、そのまま洗面所へ向かった。


綺麗な蛇口を捻ると、絶え間無く水が流れ出した。




「…ふぅ」




正直、叔母さんのことなんか忘れてしまいたい。


辛いだけだし、嫌な思い出がどんどん溢れてくる。





『ねえ加奈子。あなたのとこの花ちゃん、前賞状貰ってたそうね』


『…ええ。お習字のね』


『当て付けかしら?そんなにうちの子の出来が悪いって言いたいわけ?』


『なっ…そんなことあるわけないじゃない!』


『どうかしらね』





いつも二人の会話は聞こえていた。


叔母さんと話して、辛そうに顔を歪ませるお母さんなんか見たくなかった。