* * *
——書斎から出た私はフラフラと目的もなく歩き出した。
……二人きりになりたいって、綾小路様はどういうおつもりなんだろう。
私がいたら出来ない話でもするんだろうか。
それか、ただ単に私が邪魔だったのだろうか。
どちらにせよ、私のテンションは下がる一方である。
「……あ」
ピタリと立ち止まった私は、そういえばと顔を上げる。
棗様が学校に行ってる間にケーキ作ったんだった!
せっかく作ったんだし、お茶も持って棗様と綾小路様に差し上げよう。
そうと決まれば私はパタパタとキッチンへと駆けて行った。
とうに先程の綾小路様に部屋から追い出されたことは忘れてしまっていた。

