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放課後、棗は綾小路と共に帰宅すると、自分の書斎へと向かった。
途中で花が棗の姿を見つけて、とてとてと駆け寄って来る。
「おかえりなさいませ、棗様」
花はそこでチラリと綾小路を一瞥した。
「こんにちは、花ちゃん」
「あ、こここんにちはです!」
「綾小路さんは本を借りに来たんだ」
「な、なるほど。本ですか」
「わざわざ俺の本を借りたいと言っていただいた。やっぱり同じ本を共有するというのは嬉しいことだな」
歩きながらつらつらと花と話す棗。
しかし花はそんな棗の言葉を聞いて少し俯いてしまった。
その様子を半歩下がって見ていた綾小路は、意味深に口角を少し上げる。

