「あー、でも……ボタンは欲しい、なぁ」



ふと浮かんだ願いをなにも考えず口にした。



……うん、そうだね。

わたし、欲しいんだぁ。



それには彼の三年間が詰まっている。

わたしが彼をちゃんと知らなかった頃も一緒にいたボタンを手にすることができたら、どれだけ幸せだろう。



君を知れるわけじゃないけど、それでもいいの。

それだけで、特別。



「いいんじゃない?
中学最後の思い出だね」

「うん」



カーディガンの袖を強く握り締めた。



本当はね? 別のものが欲しいの。

だけど、それはきっと無理だから。



ボタンが欲しいと。

下さいと言っても……いいかな。