「亜貴がストラップ落としてたから、渡しに戻って来たんだよ」


倉田が亜貴に見えるようストラップをかざした。


それを聞くと亜貴は窓から姿を消した。


どたばたと駆ける音が聞こえる。


中庭に着くと倉田の元に駆け寄った。


「利也くん、ありがとう」


「どういたしまして。もう無くしたりするなよ」


ストラップを受けとると嬉しそうに亜貴は笑った。


「うんっ!」


元気のいい声で返事をする。


……これはもう僕は完全に蚊帳の外じゃないか。