煙の彼女


彼女は、そういうと僕のコーヒーの中に吸い込まれて行った。


最後にコーヒーカップから笑顔を見せて中指を立てながら頷いた。


僕はしばらく呆然としていたが、自分自身の涙でハッとした。


ゆっくりコーヒを飲み干すと彼女が身体に入った気がした。


ロールちゃんだ。


確かにイカれてる。


しかし、イカれてて何が悪いと思う。


僕は店を出ると革ジャンのジッパーを上げて歩き出した。



革ジャンのポケットの中で中指を立ててみる。


もう少し生きようそしてロール夫で良いので彼女とまた会おうと思う。


笑みがこぼれた。


ファックユーだなと独り言を言うと思わず大きな声が出て通行人が少し驚いた顔をした。







おわり