ただ、何も、 言葉は発せなかった。 菜奈はもう、次なるステージに 気持ちが向いているのだ。 あの頃に縋っているのは 僕だけだったのだ。 そう思うと途端に苦しくなった。 少し前まで また、君に出会えるって 喜んでいたのに。 少し前まで また、君と笑い合えるって 信じてたいたのに。 君にはもう、 大切な人がいるんだ。 「あ、海さん… こちらへどうぞ」 どこからか、スタッフの人が来て、 僕を誘導し出した。