君色キャンバス




卯花高校周辺に鳴り響く救急車のサイレンの音、紗波は呆然とその側に立つ。



「ちょっと事情を聞きたいんだけど…」



青い服を着た救急隊の一人が、放心状態の紗波に話しかけた。



美術室の前は騒がしい。



紗波はジッと、空に飛び羽ばたいている一羽の小鳥と、青い闇色の空を見つめた。



「…私っ、事情を知っています!この男子も…!」



小百合が救急隊と紗波の間に、亮人を連れて入り込む。



「じゃあ君たちに聞くよ。その子も付いてきてくれないか__」



深緋色のサイレンの明かりが、冷たい空気の中を巡る。










真実を知りたい、という救急隊に、小百合は紗波の側に立ち、質問に答えた。



二人は、病院のロビーで、待っている。



亮人は、緊急手術室の前に置かれたベンチに座っていた。



静かな手術室の前の廊下。



さっきまでの騒がしさは嘘のように消え去って、目に見えるのは白い壁ばかりだ。