あと五十メートルで校門に着く。



少しずつ、雲が薄れてきているようで、さっきよりは明るくなった。



校門はそれほど大きくはないが、赤いレンガで造られていて、お洒落な感じを覚える。



紗波は素通りすると、靴箱に入って行った。



上靴を逆さに持つと、落ちる画鋲。



落ちた画鋲をそのままにして、上靴を履くと、紗波は教室に向かった。



時々、廊下にシュッと上靴が擦れる音が響く。



ガラガラとスライド式の扉を開け、ドサッと鞄を机に置いて、椅子を引き、座った。



中には、小百合と居た時、紗波の悪口を言っていた三人が居た。



紗波をイジメている、主犯格の三人が揃っている。



宮岡 雪(ミヤオカ ユキ)は、その三人の中でも一番発言力の強い、リーダーのような存在。



ぶりっ子口調で、自分の名を一人称として使っており、一部の男子からは嫌われている。



香山 春奈(カヤマ ハルナ)は、なかなか気の強い女子で、棘のある言葉が印象的。



室池 真美(ムロイケ マミ)は三人の中でも、一番発言力の無い女子。



しかし、やはりクラスのイジメを仕切る三大ボスで、上から目線の口調を話す。



その三人が、紗波が入ってきたのを見て、その本人に聞こえるように言った。