光を見る父の目は鋭い。
「学年で、二位だったお前が偉そうに言うな」
「…は?」
ガタッと椅子を鳴らし、光が勢い良く立ち上がった。
机が揺れ、カレーの入った皿が震える。
「…なんだ」
「二位だって凄いでしょ?なんでアタシは褒めてくれないの?灯は褒めちぎってるくせに」
嫌味らしく言う光に、父が、呆れたように言う。
「二位よりも一位だ。灯は一位だろう。…植原家に、出来損ないは、いらない」
さっきよりも大きく音を出し、光の椅子が倒れた。
それに、目を見張っている灯が居る。
母も驚いた顔をしていた。
「…アタシが出来損ないって!?」
「何もできないだろ」
父の言葉の一つ一つに、顔が熱くなり、身体が火照っていくのが解った。
「そりゃ、久岡って子には負けてるけど、学年で二位なんだよ!?」
「だからどうした。父さんはいつでも成績トップだったぞ」
「小六と中一の問題じゃ、全然 難易度が違うじゃない!お父さんとお母さんは、いっつも灯ばっかり!」
「お前が出来損ないだからだろ」
「なんで?灯なんかよりアタシが…」
父が光に向かって歩いていき__パン、と大きな音がし、リビングは静寂に包まれた。



