黙々と夕食が続けられる。
カレーを半分まで食べ終えた時、灯が口を開いた。
「あ、そうだ。この問題、お姉ちゃん解る?」
その言葉に、カレーを掬ったスプーンを止めた。
「なに?これでも中一だよ、小六の問題くらい解るし」
光が聞くと、灯が得意そうに話す。
「あのね…こういう問題なんだけど…」
(…簡単)
光は心の中でほくそ笑み、灯に答えを言った。
「もし、エックスが五だとしたら…だから、答えは三でしょ?」
解き方を言っている最中に、カレーを食べ終わったらしい母が、スプーンを置いて言った。
「…そのくらい、中一じゃ解けて当たり前でしょ。灯は賢いわね。小六でそんな問題が解けるのね」
「…こんなの簡単じゃん」
少しムッとした光が、意地悪げに灯に問題を出した。
「じゃ、これ、中三の問題だけど…解る?八十を素数分解した時、答えは?」
そう言った刹那、父が光を咎めた。
「中三の問題が、灯に解る訳ないだろう。お前は、高一の問題を出されて、解けるのか?」
「…でも、お母さんが」
「それに」
言いかけた光の言葉を遮り、父は椅子から立ち上がりながら、言い放った。



