(…何にも知らないくせに!)
開け放しの扉からは、ひゅっと冷たい風が吹いてくる。
まだ、時刻は七時になったところで、日は出なく、暗いままだ。
美術室だけが、電気に照らされている。
「…だから、光は私と似てる」
「…どこが似てるのか、全くわかんない!どれも違うじゃない!」
光が、紗波に向かって歩みを進めて行く。
紗波はただ、光の方を見て、ジッと何かを、冷たい瞳で語りかけていた。
「…認められようと、してる所」
パンッ__
乾いた音が、突然、美術室に、響いた。
紗波の、いつもは白い左頬が、少しずつ、赤く染まっていく。
「っ…なにも、知らない、くせに…!あんたとは違って…!アタシは、誰にも、認められないのに…!嫌味にしか、聞こえない!」
気づけば、なにか__ぬるい何かが、頬を伝って行く感覚がした。
(悔しい、悔しい、悔しい…!)
美術室の中に、冷たい空気が立ち込めてくる。
秋の紅葉は、まだまだ華やかに遠くの山を飾り付けているのが、見える。



