君色キャンバス




その人影は、扉にもう一度、扉に近づいて行く。



扉には、白く細い指がかけられ__ソッと、柔らかく、開けられた。



「…光」



変わらずの無表情に、光は怒鳴りそうになるのを堪える。



「…どうして、来たの?」



紗波が、静かに言った。



ムッとして、光は腕を組んで紗波を凝視する。



「…昨日、久岡の言った“同じ”の意味が知りたいから。…天才の言った、ね」



紗波の身体が、一瞬びくりと震えるのが見えた。



それを見て、自分の口角が、少し上がるのを感じる__。



しかし、紗波は一度 震えたのみで、ジッと光を見据えていた。



黒く冷たい、黒曜石のような瞳。



「…っ、アタシと久岡は、全部 違う。適当な事 言わないで!」



紗波はその言葉を聞き終えると、少しうつむいてから、美術室の中へと入って行った。



「え、おい、待ってよ!」



光が慌てて美術室の半開きの扉に手をかけ、ガッと音を立てて開く。