「出てきなよ!みんな待ってるよ!ねぇ、天才ちゃん!」



昨日も聞いた、鼻にかかった高い声と、甲高い笑い声が廊下に木霊する。



「キャハハッ!光ちゃんって最高だね〜!」



「本当 本当!久岡がこんな事で怖がるとはね!ふふふっ、楽しすぎる!」



「アハハッ!なにこれ面白すぎる!」



祐輝は美術室の前の光景を見て、唖然とした。



美術室の前に立ち、大きく笑いながら扉を叩いているのは、雪、春奈、真美__光。



窓から差し込む日が、廊下の床に反射している。



「な、何やってんだよ…」



祐輝が呟くが、あの四人は気づいていないらしく、扉を叩き続けている。



光ちゃん、と呼んでいるところを見ると、きっとイジメをする仲間として、仲良くなったのだろう。



昨日 転校してきた光の周りには、常に二、三人の女子がいる。



四人が叩く美術室の扉の中で、紗波がどうしているのか、想像ができなかった。



「何やってんだよてめえ等!!」



祐輝が、ドスの効いた声で叫んだ瞬間、光、雪、真美、春奈がこっちを向いた。



光が笑うのが見えた。