「…あ、ヤンキーさんだ!」



光が、ひまわりの様な笑顔を浮かべ、そう言った。



光を囲む数人の女子が、祐輝の方を見る。



「わ、一限目に教室に飛び込んできたヤンキーさんだよね?『久岡に何かあったのか?』って言ってて、アタシびっくりしちゃった。久岡と付き合ってるの?」



大きい、子供を思わせるどんぐり目がらんらんと光る。



「…あ?ナメてんのか?」



祐輝がドスの効いた声を出すと、大袈裟なほどに震え上がる仕草を見せる光。



「やだぁー、怖い!みんな、あの人 怖いよねー!」



数人の女子が頷いて、ニヤニヤと不細工に微笑んでいるのを、祐輝が睨む。



「うるせえんだよ。失せろ」



「えー、なんで?だってさ、ここアタシ達が最初に居たじゃん!」



光がそう言ってから、祐輝の茶色い瞳をジッと見つめる。



笑顔こそ浮かべているものの、その目ははっきりと『気に食わない』と言っていた。