君色キャンバス




「でも、久岡って暗い…というか、感情が無いよね…」



小百合が、ピクンと反応して光の方に身体と視線を向ける。



「え、い、いきなり何?」



「いや…可哀想だなぁ、って思って。だって感情が無いんだよ?…凄く可哀想」



大袈裟すぎる程、光は紗波を憐れんだ。



それを見ていると小百合も腹が立ってくるが、同情してくれているのだと、怒りを殺す。



「うん…」



「でさっ、アタシ考えたんだけどね?」



ぐいと身を乗り出して、光が小百合に顔を近づける。



小百合は思わず後退したが、光は妖しい微笑みを浮かべたまま、こう言った。



「アタシ、久岡の力になりたい!ねぇ、久岡の過去に何があったの?小百合…教えて?」



身体が、動かない。



空は快晴、雲一つもなく、山の彼方から涼しい風が吹いては、小百合と光の髪を揺する。



「…え、でも」



「アタシはね、本気」



光が言葉を遮る。



「久岡を助けたいの。だから…教えて」



小百合は、光の本性を垣間 見た気がして、容易に答えは出なかった。



「ね、小百合…久岡が可哀想と思わないの?」



正直、『可哀想』という気持ちは、とっくの昔に消えている。



小百合は、紗波の事を『助けたい』という思いでしか見ていなかった。



__だからこそ、この提案に乗ったとも言える。



光に全てを話した。