「こんにちは。ねぇ、あなたって河下さん?」
白いセーラー服を着た小百合に、茶髪の巻き髪の女子が話しかけた。
「え、あ、は、はい、そうですけど」
小百合が狼狽えたのも無理は無い。
見た事はあるが名前を知らない女子に、いきなり廊下で声をかけられたのだ。
小百合は対応に困りながら、とりあえず返事をする。
「え、なにか私に用ですか?」
目の前の女子は、ニッコリと小百合に微笑みかけながら、名前を名乗る。
「アタシは、植原 光って言うの!アタシね、前から河下さんと友達になりたいなぁ…って思ってたんだけど…友達にならない?」
「…は?え、私ですか?」
小百合は一瞬、聞き間違えかと思った。
自分がもし、生徒や先生から大人気ならこういう事もあり得るだろうが、小百合はどちらかといえば、そう目立つ方でもない。
成績も中の上ほどで、張り合うようなライバルも居なかった。
「そうだよ!あっ、嫌なら別に断ってくれていいよ?」
「え…その、なんで私と?」
どう答えればいいか解らなかった。
女子__光と名乗った女子は、その言葉を聞くと、また笑う。
常に笑顔を絶やさないようだ。
小百合はそんな光に、あって間もないというのに、一種の尊敬を覚えた。
「何度か見かけた事があるんだけどね、仲良くなったら楽しそうな子だなぁ…って見る度に思ってたんだ。で、もう我慢ができなくてね!」
「は、はぁ」
その勢いと笑顔に圧倒され、小百合は頷くしかない。
「で、どう?嫌かな?」
「い、嫌じゃないですけど…」
「嫌じゃないなら、なろうよ!」
光がお日様の様な眩しい笑顔を放ち、小百合もつられて笑顔になる。
「え、うん」
不可解で固い表情をしながら、小百合は戸惑いつつも、言葉を返す。
この日から、小百合と光の仲は、あっという間に良くなっていった。
紗波は特に何も言わず、ずっと美術室にこもっては、絵を描いていたらしい。



