「あぁ…光の事…?」
小百合が、傍目から見ても解る程の悲しい顔をして、机に突っ伏した。
思い出すのが苦痛なのか、なかなか話を始めようとしない。
祐輝は腕を組み、小百合が話し出すのを待つ。
やがて、流れた様に三分が経った。
ふぅ、と息をつく。
「…そんなに酷いのか、あいつ?」
小百合がゆらゆらと顔を上げると、祐輝の顔を見る。
「…普通なら、些細な事。…でも、紗波にとっては…かなり酷い…でね、その原因を作ったのは…私なの…」
真剣な表情の小百合は、何かを心底 後悔している風に見える。
少なくとも、悲しみとはまた違った感情が溢れていた。
「…何があったんだよ」
空き教室に、祐輝の問いかける声と滴る雨音だけが木霊する。
「…中二の時の事」
小百合が、一つ一つ言葉を選ぶ様に、ゆっくりと呟いていく。
祐輝はそれを聞きながら、頭の中でその様子を想像しようと目を閉じた。
目を閉じる前に、中庭の方を向いて美術室を見上げ、紗波が今 何をしているかを考える。
美術室には、青いカーテンが全ての窓に引かれている。



