君色キャンバス




「紗波は別に、顔に怪我はしてなかった。してたのは…身体。全身アザだらけだったみたい。熱湯をかけられたりとかはしてないから、虐待の中でも軽い方だって。虐待に軽い、なんてないのにね」



風が震えるのを、感じる。



雨の音が、中庭に重々しく木霊した。



土が跳ねるのが見える。



「紗波の虐待パターンは、こう。勉強させられて、考えるために鉛筆が止まれば、暴力。身体を、素手で殴られた。女性の力だから、なんとかアザは残らなかったらしいよ。暴行した後、お母さんは紗波になんて言ったと思う?」



祐輝は暫らく考え込んだ後で、解らないというように首を振った。



丁度、一限目の終わったチャイムが鳴って、五分休みになる。



「ちょっと、場所を変えよう…流岡」



廊下に、何人かの生徒たちが出てきて、祐輝や小百合の後ろを通って行く。



今の所は二年三組の生徒は通っていないが、見つかればかなり面倒な事になるだろう。



二人は、誰も居ない、二階の空き教室へと移動した。