君色キャンバス







「…それで…?」



祐輝が、小声でその先を促す。



雨は小降りになったが、止む気配は全くもって見せはしない。



小百合は、乾いている雨の当たらない地面に座って、中庭を見ながら、水滴が落ちる音を聞いていた。



「やっぱり紗波は、虐待されてた。“将来に困らないための躾”って、称してね。どんな事されてたと思う?」



小百合が、祐輝に話をふる。



祐輝は何も答えずに、黙って最上階にある美術室を見上げた。



視界には、灰色の空も見える。



「…一日中 机の前に座らされて、勉強、勉強。テストで百点以外を取れば、平手打ちもされてた。紗波はね、元々…二位を突き放した学年一位なんて成績じゃなかった」



小百合のその言葉に、祐輝は信じられないような気分になる。



紗波は決して、成績優秀ではなかった。



「…テストは真ん中だったのに、いきなり一番になったのに違和感を覚えるべきだった」



小百合が後悔するように、顔を伏せて足元の地面を見ている。



そんな小百合にかける言葉を思いつかず、祐輝は黙って立っていた。



また、小百合が話を続ける。