ボク、また失敗しちゃった。


「どうしたの。サトルくん」


いきなりアワアワしているボクを見て、サユちゃんはびっくりしたみたい。


「……ボールあたったらいたくて。やなときもあるよ」


胸がざわざわするから、ボクはそんなことを言ってみた。


「そうなの?」


サユちゃんはますます不思議顔。

どうしよう。
どうやったらサユちゃん笑うんだろう。

ボクの好きなにっこりを見せて欲しいのに。


心の中で勇気のおまじないをとなえる。

【ボクは、サユちゃんのカピィになるんだ】

うん。これで、ボクは勇気パンパンだぞ!




「サユちゃん、ボクにもお絵かきさせて」

「いいよ。はい」


サユちゃんのお絵かき帳のすみに、クレヨンをかりて、小さな天使を描く。


これ、天使だよ?
ちゃんと分かってくれるかな。


「サトルくん、何描いたの? 羽ついてる。……ハチ?」

「ああああー」


違う。ボクどうしてへたくそなんだ。