「お…っ、おはよ!慎也」


絶対今、顔赤い。

けど、どうせあたしの気持ちはみんなにバレてるんだし、もういいやと思った。

慎也はあたしを見て、少しの間固まる。

そして、さっきまでの繕った笑みを崩して、ふわりと笑ってくれた。


「…おはよ」


その柔らかな笑顔と、少しだけ朱色に染まったその頬に、ぎゅううと心臓を掴まれる。

たぶん、意識、してくれてる。

それがたまらなく嬉しい。

すっごく、嬉しい…!


涙まで出そうなほど喜びに浸っていると、トモが耳元で不機嫌な声を出してきた。


「あれー?麗奈ちゃん、俺は?俺にはなんも言ってくれないんですかぁー?」

「……ごめんって。おはよう、トモ」

「うわ、なにそのあしらい方。ひっでぇ」


ぶー、と頬を膨らませるトモに、みんなで笑う。


…やっぱり、いいな。

いつまでも四人で、笑いあえたらいいのに。



放課後、あたしは勇気を振り絞って、慎也に声をかけた。


「し…慎也!」


クラスメイト達がざわざわと席を立ち、教室を出ていく中。

まだ自分の席で帰りの準備をしている慎也は、あたしを見てびくりと肩を揺らした。