あたしの机の前で、きゃいきゃいとはしゃぐ。

…よかった、元気そう。

昨日、中身を見てしまったあの箱は、利乃が部屋へ戻る前に急いで片付けた。

気づかれていないと、いいんだけど…

すると、利乃が教室の扉の方を見て、「あっ」と声を上げた。

見ると、そこには慎也とトモの姿。

昨日のことがあって、目を合わせづらい。

…ていうか、ものすごく恥ずかしい。

あたしが縮こまっていると、利乃はふたりに向かって大きく口を開いた。


「慎ちゃん、トモくん!おはよー」


……おとといのことが、まるでなかったことのように。

慎也へ笑いかけた利乃に、少し驚いた。

トモもあたしと同じように、明るい利乃に戸惑いながら「おはよ」と返す。

…慎也は、利乃のニコニコした表情を見て、しばらく黙っていたけど。


「…ん。おはよ」


…すぐに、いつも通りに微笑んだ。

……ううん、いつも通りじゃ、ない。

繕った表情だ。

悲しい感情を抑えてつくった、笑顔だ。


思わず慎也の顔を見つめていると、不意に目があった。

ドキリとして、心臓が痛くなってくる。

……ああ、ダメ。

こんなんじゃ、ダメ!