王子は言葉も出ないらしい。

 やった。これで私は自由の身になる!

「ふふふ」

 思わず勝利の微笑がこぼれてしまった瞬間、「ぶふー!」とアカツキが吹き出した。

 お腹を押さえてゲラゲラ笑っている微笑み王子に、あっけにとられる。

「な、何を笑って」

「なんだよ、どうしたアカツキ」

 私を突き飛ばすように、セイが微笑み王子の肩に腕を回す。

 ひーひー笑いながら、アカツキは私のスマホをセイに見せた。

「知紗が、月乃(つきの)と朱里(あかり)を見たらしい」

 画面を見たセイの顔が、でれっと緩む。

「ああ、アカツキの姉ちゃん、ふたりとも美人だよなー」

 その言葉に、私は耳を疑った。

「は……姉!?」

「また合コンしてって月乃さんに言っといて」

「そんなこと言っていいの? アヤカちゃん怒るぞー」

 呆然としている私に気づき、アカツキが微笑む。