「96点! さすがレオ!」

「すごーい! 高槻くんうまーい!」

 初っ端からたたき出された高得点に、レミが惜しみない笑顔と拍手を送る。

 美少女から賞賛されたら照れたりドヤ顔をしそうなものだけど、高槻くんの表情はまったく変わらない。

 ふうと小さく息をつき、ソファに腰を落とした。レミには目もくれず、ストローに口をつける。

 さすが青春ファンタジーだ。彼はきっと生身の女子には興味がないのだ。

「いいか、俺とちィの勝負だからな。他のやつの点数は関係ねえ!」

 セイが不機嫌そうに私にマイクを突きつけると、ダイチくんが財布を取り出した。

「じゃあ、知紗ちゃんに百円賭けようかな」

「俺も」とアカツキがにこにこしながら財布を開く。

「知紗に。千円」

「おお、さっすがご主人様! じゃ俺もチーコに千円いっとこ」

 テーブルの上に投げ出される千円札を見て、私はマイクを握り締める。

「わ、私、別に歌うまくないんだけど……」