永久鬼ごっこ


【正汰side】


「だったらあたし買いに行こっか?近くにコンビニあるし。」

そう言って結美がイスから立つ。

昨日の料理のせいで材料がないらしい。

こんな暗い中、1人で歩かせるわけには行かない。それに……今は“鬼ごっこ”をしている最中だ。
結美が鬼に捕まっていなくなったなんて俺は絶対耐えれない。

「いくら近いからって1人じゃ、危ねぇだろ?俺がついて行く」
そう言いながら俺も椅子から立ち、出かける支度をする。


他のヤツらも『1人は駄目だから2人で行けば?』と、ニヤニヤしながら俺らに向かって言ってくる。

コイツらはいっつもそう言ってからかってくる。

コイツらは……俺の気持ちに多分気づいてんだろうな。俺って分かりやすいらしいからな。

そんな中、結美はからかってくる村岡達に『そんなんじゃないから!』と否定しながら、慌てて玄関を出て行った。

そしたら村岡が、『あーぁ、このままじゃ結美が誰かに取られるぞー』とケラケラ笑いながら言ってくる。

俺も結美の後を追うように、『からかうんじゃねぇ!』と言って玄関を飛び出した。