正汰の背中に乗った後、正汰が立ち上がった。 その時───。 フワリと正汰の髪の毛があたしの鼻をかすめた。 鼻にかすれただけなのにとても正汰の髪の毛からいい匂いがした。 正汰の匂い── いつの間にかあたしは変なことを考えてしまい、顔を赤くなって胸がドクドクといつもより速いスピードで鳴っている。 誰もいない道に聞こえそうなほど大きく鳴っている。 正汰に聞こえていないかな──── そう思いながら正汰の背中で、揺られながら暗い道を歩いていった。