「そろそろご飯にしよっか」
あたしが言いながらキッチンへ向かう。
「りょーかい!…って、食料無いじゃん!昨日の料理で全部使っちゃった?」
冷蔵庫を覗きながら千沙が困った顔であたし達向かって言ってきた。
「だったらあたし買いに行こっか?近くにコンビニあるし。」
そう言って出て行く支度をすると、
「いくら近いからって1人じゃ、危ねぇだろ?俺がついて行く」
そう言いながら椅子から立つ。
他のみんなも『1人は駄目だから2人で行けば?』と、ニヤニヤしながらあたし達2人に言ってくる。
あたしはそんなみんなに『そんなんじゃないから!』と否定しながら、慌てて玄関を出た。
正汰もあたしに続き『からかうんじゃねぇ!』と言って玄関を飛び出してきた。
6月なのに外はヒンヤリと肌寒かった。
そんな中、正汰が『急がねぇと鬼がきちまうだろ?ほら、行くぞ!』そう言ってあたしの手を握り引っ張り出した。
あたしは少し驚きながら手を引かれたまま歩いた。
その時の正汰の手はホンノリあたしの手より暖かかった──。

