「あの、ありがとう」 「…ん」 少し前を歩く南雲くんは、これからサッカーの試合に出るらしい。 面倒くさい、とため息をつく南雲くんは、やっぱりやる気がなさそうだ。 なさそう、だったんだけど。 「…」 戦う相手のチームに、さっき廊下で話していた男の子2人がいることに気付いて、眉をしかめた南雲くん。 相手の2人も、気まずそうにしている。 南雲くんはチラリと彼らを睨み付けてから、 「これ持ってて」 私の方に歩いてきて、外したメガネを私の手に持たせた。