「北山さん」 教室に入った瞬間、呼ばれた名前に驚いて顔を上げれば、南雲くんがいた。 「南雲くん、おは……」 「今日の放課後、暇だよね」 おはよう、と言おうとした声がかき消された。 暇だよねって、どうして決めつけられてるんだろう……。 この前から私、南雲くんに暇人だと思われてるよね……? 「暇じゃないの?」 何も答えない私に、少し不安げな顔をするから。 「暇です……!」 慌てて頷いた。