少し前を歩く南雲くんの隣を歩いてみたくて、少し足を早めれば。 ……とん、と一瞬触れた手に、ドキンと心臓が跳ねる。 温かい南雲くんの手。 一瞬、ほんの一瞬触れただけなのに、微かに私の手に残る温度。 「っ……」 無理だ、何これ、ドキドキする……。 バクバクとうるさい心臓に耐えられず、歩幅を縮めて隣に並ぶのを諦めた。 ふたりの距離は、人ひとり分。