彼は微笑む。
不気味さの微塵もない明るい顔で私に微笑む。
その笑顔と優しい言葉に警戒心は易々と崩される。
自分の願いを叶える事に執着する霊体ばかりじゃないのかも知れない。
彼みたいに人助けをしたいと言う珍しいタイプもいるのだと…
信じてしまった。
近くの公園に移動した。
日は傾き空が紫掛かる黄昏時。
公園で遊んでいた子供達は皆帰り、ポツンと灯る外灯の明かりの下、私は彼とベンチに座る。
彼に触れない様にと、ベンチの端に寄って座る私に、彼は明るく笑って言う。
『大丈夫、触らないよ。触れたらケガをしたり痣になる事もあるだろ?
安心して。僕はむやみに人に触れたりしない』
「色々と詳しいですね…」


