霊体らしくないニコニコ微笑む彼を警戒する。
この人も水谷徹と同じ様に取引しようとしているのだ。
多分この人は、あの親子に関する心残りを抱えている…
それで足首に鎖を巻き付け成仏出来ないんだ…
私の心に巻き付く鎖の外し方と引き換えに、願いを叶えろと言ってくるに違いない。
身構えて二歩三歩と後退る。
もう命を削る行為はしないと誓ったんだ。
彼は何もかも見透かした様な瞳で私を観察し、それからニコリと人の良さそうな顔で笑った。
『何を警戒しているんだい?
別に君に何かをさせようとしているんじゃないよ。
ただのお節介。僕は生前からそういうタチなんだ。
君の心の鎖が重そうだから、外し方を教えてあげようと思っただけなんだけどな〜』
そんな都合の良い話しがある筈ないと怪しむ心の一方で、
早くこの不快な鎖を外してサッパリしたいとも思う。
恐る恐る私は彼と言葉を交わす。
「本当に…私に何かさせたりしない…?
外し方だけ教えてくれるの…?」
『ああ、そうだよ。
君みたいに可愛い女子高生が鎖に縛られ暗い顔しているなんて可哀相だ。
僕はお節介のお人好し。
…………………………………………シンジテヨ…』


